第215章 こっそり意地悪をする

午前9時。南雲玲奈のスマホに、小泉大輔からメッセージが届いた。――下に降りてきて。

玲奈が香澄に声をかけると、香澄は「はーい!」とでも言いたげにぱっと動き、荷物を抱えて靴を履く。

「みんな出かけるなら、私ひとりで家にいても退屈だし。ついでにネイルでも行こっかな」

志村千夏も暇つぶしがてら、三人で一緒に下へ向かった。

マンションの前に出ると、小泉大輔の姿が見える。

数日ぶりだ。香澄は会いたくてたまらなかったのだろう、見つけた瞬間、勢いよく駆け寄ってぎゅっと抱きついた。

「パパ!」

――知ってはいた。香澄が小泉大輔を「パパ」と呼ぶことは。

それでも実際に目の当たりにすると、千夏は...

ログインして続きを読む